目次
第1~2回:作業プロセスの理解とAE基礎機能属性
授業概要
- 狙い:映像制作におけるアイデアの生み出し方と、After Effects(以下AE)の基本操作を理解し、制作プロセス全体を俯瞰できるようになる。
- ポイント:
- コンセプト発想法(ブレーンストーミング、マインドマップなど)
- 資料収集の方法・リサーチスキル
- AEのインターフェースや基本的なワークフローを押さえる
学習内容
- 制作プロセス全体の流れ
- 企画 → プランニング → デザイン → 実装 → テスト → 完成
- 各フェーズで求められる要素(アイデア出し、リファレンス収集、フィードバックなど)
- コンセプト発想法
- ブレーンストーミングやマインドマップの実践
- 事例研究:優れた映像作品のコンセプトを分析
- 資料収集とリサーチ手法
- 参考映像、画像、音素材、トレンド情報などの集め方
- クリエイティブ・コモンズ等の著作権周りの基礎知識
- AE基礎操作
- インターフェースの理解(プロジェクトパネル、タイムライン、コンポジションなど)
- レイヤー構造、キーフレーム、ベジェ曲線などアニメーションの基礎概念
- 簡単なモーション付けを試す
30s 演習課題
「興味のあるテーマ」を設定し、そのテーマに関するリファレンスを集めて発表。最後に簡単なAEアニメーションとして表現する。
第3~5回:AIと映像制作、そして我々クリエイターの未来とは?
授業概要
- 狙い:Midjourneyや他の生成AIの概要を理解し、プロンプトの概念や活用事例を通じて、AIとの協業スタイルを考察する。
- ポイント:
- 生成AIの動向と可能性・限界
- プロンプトエンジニアリングの基礎(画像生成・動画生成など)
- AIツールを取り入れる際のクリエイターとしてのアプローチや倫理的視点
学習内容
- 生成AIの概要
- Midjourney、Stable Diffusion、DALL·E、Suno AIなどの仕組みとトレンド
- AIが得意とする部分、不得意とする部分
- プロンプトの概念
- プロンプトを設計する際の着眼点(キーワード、スタイル指定、構図など)
- 実例紹介:プロンプトを変えることで出力結果がどのように変化するか
- クリエイティブへの応用
- AIで生成したビジュアルや映像の使い方(素材としての活用、アイデア出しの補助など)
- AIから得た要素と人間の演出力を組み合わせる方法
- 倫理と今後の展望
- AI-generatedコンテンツの著作権やフェイク問題
- クリエイターが持つべき姿勢(独自性や人間らしさとの両立)
演習課題
Midjourneyなどの生成AIを用いて、特定のテーマのビジュアルを3パターン制作。狙い通りに生成されなかった点を振り返り、どのようにプロンプトを改善すれば良いかレポートする。
第6~9回:基本機能だけで制作する感覚的アニメーション
授業概要
- 狙い:AEの基本機能(キーフレーム、トランスフォーム、シェイプ、テキストアニメーション等)を掘り下げ、感覚的なモーションアートワークを制作する。
- ポイント:
- レイヤー同士の相互作用、グラフエディタの活用
- シンプルな要素だけでリズム感のあるアニメーションを作るコツ
- 音とのシンクロや視線誘導を意識したデザイン
学習内容
- キーフレームアニメーションの深掘り
- イージング、グラフエディタ、速度曲線の編集
- モーションブラーや描画順の調整
- シェイプアニメーション
- シェイプレイヤーのパスアニメーション、リピーターの活用
- 抽象的なビジュアル表現の方法
- テキストアニメーション
- プリセットの活用とカスタマイズ
- タイポグラフィと動きの組み合わせ方
- 音楽や効果音との同期
- タイミングを合わせる手法(フレームや波形を参考にするなど)
- 視覚と聴覚の相乗効果
30s 演習課題
Suno AIで生成した曲や効果音に合わせて、抽象的なシェイプアニメーションを作成し、クラス内で上映しフィードバックを行う。
第10~12回:AEの核心的なエフェクトについて
授業概要
- 狙い:After Effectsの豊富なエフェクトを活用し、特にサウンドビジュアライゼーションなどのインパクトある表現を身につける。
- ポイント:
- エフェクトやプラグインの代表例と活用術
- Sound Visualization Asset制作の手法
- エフェクトのカスタマイズやプリセットの管理
学習内容
- 代表的なエフェクトの分類と使いどころ
- Blur系、Distortion系、Color Correction系など
- 作例の紹介と具体的な設定例
- サウンドビジュアライゼーションの制作フロー
- オーディオ波形の抽出と連動アニメーション(Audio Spectrum, Audio Waveformなど)
- リズムや音階に応じて動きを変化させる手法
- エフェクトとコンポジションの組み合わせ
- プリコンポーズの利活用
- エフェクトのスタックやブレンドモードの工夫
- 演出力を高めるテクニック
- グリッチエフェクト、パーティクル系演出、タイポグラフィの拡張
- カメラや3Dレイヤーとの連動(必要に応じて)
30s 演習課題
Suno AIで生成した短い音楽トラックをもとに、サウンドビジュアライゼーション作品を制作。各自で異なるエフェクトを3種類以上活用し、演出力を競う。
第13~15回:ポートフォリオのバージョンアップ
授業概要
- 狙い:これまで制作した作品を整理・再編集し、ポートフォリオやデモリールの魅力を最大化する。さらに、発信力とセルフブランディングの方法を学ぶ。
- ポイント:
- 作品をどう選び、編集し、見せるか
- デモリールの構成と音選び
- 発信プラットフォームの選択とSNS活用
学習内容
- ポートフォリオ構成のポイント
- 作品セレクションと並べ方のコツ
- 各作品に添える解説(コンセプト・制作意図・使用ツールなど)
- デモリール制作
- デモリールのテンポ感や見せ場の作り方
- 音楽や効果音の選定、サウンドロゴ的演出
- 発信力の強化
- Behance、Vimeo、YouTubeなどの活用
- SNSでの効果的な広報(ハッシュタグ、投稿タイミングなど)
- 今後のキャリアビジョンへのつなげ方
- 講評・フィードバック
- 完成したポートフォリオやデモリールをクラス内で発表
- 教員・学生同士での講評を通じ、ブラッシュアップ
30s 演習課題
自作作品を再編集し、1分~2分程度のデモリールを仕上げる。発信プラットフォームにアップロードして視聴リンクを共有し、フィードバックを得る。
総まとめ
- 多面的なメディア表現の考察
- 前半(第1~2回)でアイデア発想・調査、AE基礎を学び、後半ではAIやエフェクト活用、ポートフォリオ制作へと発展。
- 送り手と受け手が相互に作用するサービスやコンテンツ制作
- AIを活用した共同作業の可能性や、視聴者の反応を踏まえた演出を取り入れ、メディア表現の幅を広げる。
- 最終目標:
- 単なる技術習得で終わらず、どのような制作スタンス・コンセプトで発信していくかを見極め、自走可能なクリエイターとして成長する。